「レーズン種なら焼けるのに…」なぜサワー種だけ失敗するのか?原因はグルテンの「分解」にありました

「自家製酵母のパン教室に通ったので、レーズン種や酒種なら上手に焼けるんです。でも、どうしてもサワー種だけはうまくいかなくて……」

当協会の講座に来られる方から、このようなご相談をよくいただきます。

パン作りの経験が長い方ほど、この「サワー種の壁」にぶつかります。

生地がだれてしまったり、クープが開かなかったり、焼き上がりが平べったくなってしまったり。

「私にはセンスがないのかな」 「やっぱりサワー種は難しい」

そう思って諦めてしまう前に、これだけは知っておいてください。

あなたが失敗するのは、技術が足りないからではありません。

「他の天然酵母と、サワー種は、決定的に『生き物のルール』が違う」 という事実を知らないだけなのです。

今日は、多くのベテランさんが陥る「天然酵母の常識という名の落とし穴」について、製パン理論の視点から解説します。


1|決定的な違いは「発酵」か「分解」か

レーズン種やホップ種といった「果実種」と、粉と水で繋ぐ「サワー種」。

どちらも同じ「天然酵母」と括られますが、中身は全くの別物です。

最大の違いは、「誰が主役か」です。

  • 果実種(レーズン種など): 主役は「酵母菌」です。彼らは糖を食べてガスを出し、生地を膨らませます。

  • サワー種: 主役は「酵母菌」と、もう一人……「乳酸菌」がいます。

この「乳酸菌」の存在こそが、サワー種を難しくしている正体です。


2|待てば待つほど「骨格」が溶けていく

レーズン種でパンを焼く時、発酵が遅ければ「もう少し待とう」と判断しますよね?

時間をかければかけるほど、酵母がガスを出して、パンはふっくらと膨らみます。

しかし、サワー種で同じことをすると大惨事になります。 「待てば待つほど、生地がドロドロに溶けていく」という現象が起きるのです。

なぜでしょうか? ここに、「プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)」という酵素が関わってきます。

サワー種の乳酸菌は、発酵中に強力な「酸」を出します。 生地が酸性に傾く(pHが下がる)と、小麦粉に含まれる酵素「プロテアーゼ」のスイッチが自動的にONになります。

プロテアーゼの役割は、タンパク質(グルテン)を分解すること

つまり、サワー種の発酵が進めば進むほど、パンの骨格であるグルテンが酵素によってバチバチと切断されていくのです。

これが、サワー種特有の「生地のダレ(軟化)」の原因です。


3|サワー種は「時間」との戦いではない

他の天然酵母が「膨らませる力(アクセル)」だけで走れる車だとしたら、サワー種は「膨らませる力(アクセル)」と「溶かす力(ブレーキ)」の両方を同時に踏んでいるようなものです。

レーズン種の感覚で「あと30分待てばもっと大きくなるはず」とのんびり構えている間に、サワー種の中では酵素が暴れまわり、せっかく繋がったグルテンを食い破っています。

その結果、焼いた時には骨格を失った生地がデロンと広がり、クープも開かず、酸っぱいだけのパンになってしまうのです。


4|「感覚」ではなく「理論」でコントロールする

サワー種を自在に操るために必要なのは、長年の勘ではありません。

「pH(酸性度)」と「酵素の働き」を理解し、グルテンが壊れるギリギリ手前で焼き上げるための「見極め」の理論です。

「なぜ失敗したのかわからない」 そう悩み続けているのなら、一度「今までの天然酵母の常識」を捨ててみてください。

サワー種という「気まぐれな生き物」が理論で扱えるようになれば、あなたのパン作りはもっと自由で、クリエイティブなものに変わります。

ただ、この「酵素のコントロール」をする大前提として、絶対に欠かせない条件が一つあります。

それは、「使うサワー種そのものが、元気でバランスが良いこと」です。

元々の種が酸っぱすぎたり、弱すぎたりすると、どんなに技術があっても生地は溶けてしまいます。 つまり、「正しい種の作り方」こそが、成功への最初の一歩なのです。

私のメール講座では、この「土台」となるサワー種の育て方を、9日間にわたってゼロから解説しています。 まずは自分の手で、力強い相棒(サワー種)を育ててみませんか?


「元気な種」を自宅で育てる9日間(無料)

日本アートクープ協会のニュースメールでは

サワー種✖️高加水アートクープカンパーニュを家庭で美味しく焼くヒント
7日間で自家製サワー種レシピ&本格ピザのレシピと動画をプレゼント🎁
をお届けしています。

見逃さないようぜひ登録してくださいね。

登録する
次へ
次へ

発酵の見極め方と失敗しないためのコツ