サワードゥ×アートクープに欠かせない道具の話
「アートクープがきれいに出ないんです」
「焼く前は生地に粉が残っていたのに、焼いたら消えてしまって模様がわかりません」
そんな声をよく聞きます。そして私もかつて経験してきました。
◾️アートクープに欠かせない、蓋付き鍋
アートクープを楽しむなら、オーブン対応の蓋付き鍋があると大きく変わります。
よく知られているのはストウブやル・クルーゼ。
けれど、必ずしも高価なものである必要はありません。
私が長く使っているのは、こちらの鍋です。
手頃な価格でも、しっかりと結果を出してくれる優秀な相棒。
家庭用オーブンにも入り、ガス火・IHに対応。パン作りだけではなく日常の料理にも活躍してくれます。
◾️鍋を使わず粘っていたあの頃
私は最初の頃、鍋を使わずに何度も挑戦しました。
どのようにしていたかというと、
・大きなステンレス鍋をひっくり返し生地に被せ、焼成
・アルミホイルをドーム型にして生地に被せ、焼成
しかし、どんだけ試しても「模様がにじむ」「粉が消えてしまい模様と焼き色のコントラストが出ない」。
生地の発酵状態はいいし、クープの入れ方も問題ない。あと一歩の大事な焼成という部分でいつもつまずいていました。
それが、鍋を導入した瞬間、まるで別世界のように変わったんです。生地の表面が高温に守られ、刻んだラインも消えない。あぁ、これだったんだ!!と、とても嬉しかったことを覚えています。
◾️鍋の中で起きていること
焼いている間、鍋の中では生地がゆっくりと膨らんでいきます。
最初の頃は「なぜ鍋を使うと違うのか」がわからなかったのですが、何度も焼いているうちに、水分・生地・焼成温度の関係がわかるようになりました。
それからは、クープの開き方は不思議なほど安定。パン作りがさらに楽しくなりました。
◾️氷を入れる焼成方法について
海外の動画で、鍋の中に氷を入れて焼く方法を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。確かにぱっくりクープを開かせるには効果がありますが、アートクープを楽しみたい方にはあまりお勧めしていません。
なぜなら水分が多すぎると、生地表面の粉が溶けてしまい、せっかく刻んだ模様がぼやけてしまうのことがあるからです。
見た目の美しさを大切にするアートクープには、もう少し繊細な”蒸気の調整”が向いています。
◾️おわりに
パン作りは、材料だけでなく「環境の整え」も大切ですね。あなたのパン作りにも、きっと頼もしい”相棒”がいると思います。
今日の焼き上がりの香りとともに、その存在を愛でてください。