レシピの束縛から解放される。サワー種に隠された「見えない水分」と、真のベーカーズパーセント
インターネットや洋書で、息を呑むほど美しいサワードゥブレッドのレシピに出会ったとき。あなたなら、どう向き合いますか?
すぐに粉と水を計り始める行動力は素晴らしいです。しかし、ボウルに粉を入れる前に、まず「本当の加水率」を読み解くという作業をお勧めします。
本日は、レシピを単なる「手順書」から、生地のイメージにつながる「設計図」へと変えるための理論、『サワー種における真のベーカーズパーセント』についてお話しします。
1|サワー種は、単なる「酵母液」ではない
多くの人が陥りがちな誤解があります。それは、レシピに記載されている「サワー種 〇〇g」という表記を、そのまま「酵母の液体」として計算してしまうことです。
サワー種には、正確に「半分の粉」と「半分の水」が内包されています。つまりサワー種とは、それ自体がパンの骨格となる「粉」であり、生地を潤す「水分」でもあるのです。
この「見えない粉と水」を計算に組み込むことで初めて、私たちはそのレシピの本当の姿を知ることができます。
2|生地を予測する「3つの計算ステップ」
では、どのようにして真の水分量(真の加水率)を導き出すのか。これは決して難解な数学ではなく、生地の真実を知るための、極めて論理的な3つのステップです。
【例題レシピ】
本ごねの粉:250g
本ごねの水:185g
サワー種:50g
もしサワー種を無視して計算すると、水(185) ÷ 粉(250) = 加水率74% となります。しかし、真実は違います。
ステップ1:サワー種を解体する
サワー種50gの中には、「粉25g」と「水25g」が隠れています。
ステップ2:真の総量を把握する
レシピの粉250g + 隠れた粉25g = 真の総粉量 275g
レシピの水185g + 隠れた水25g = 真の総水量 210g
ステップ3:真の加水率を導き出す
真の総水量(210) ÷ 真の総粉量(275) × 100 = 約76.3%
見かけの「74%」と、実際の「76.3%」。 この計算ができるようになることには、3つのメリットがあります。
1. レシピの「真の難易度」がわかる
インターネットで見つけた見知らぬレシピでも、この計算を行えば「このパンの本当の加水率は76.3%だ」と正確に把握することができます。
2. 生地の状態を「予測」できる
真の加水率がわかれば、ボウルに手を入れる前から「このくらいの水分量なら、生地はこれくらいの柔らかさになるはずだ」「成形にはあの技術が必要になるな」と、事前に生地の状態を予測し、心と技術の準備を整えることができます。
3. 自由自在な「レシピの再構築」
「今日は持っている発酵カゴに合わせて、粉の総量を300gに増やして焼きたい」。そんな時でも、ベーカーズパーセントという基準を持っていれば、完璧なバランスを保ったまま、新しい材料の分量を瞬時に弾き出すことができます。
3|計算は「地図」。その先にある表現の領域へ
真のベーカーズパーセントを知ることは、誰かが作ったレシピの束縛から離れ、自らの意志でパンをデザインするためのツールですね。
しかし、計算式を知ることは、あくまで地図を手に入れた状態に過ぎません。
事前に「加水率80%」と予測できた極めて難易度の高い生地を、実際にいかにして美しく成形し、そこに芸術的なアートクープという生命を吹き込むのか。
季節や粉のロットによる変化をどう読み取り、微調整していくのか。
これらは、ただの計算という枠を超えた「生地との対話」、つまりアーティストとしての技術と美学の領域です。
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